the silver case 25 



side 凶悪犯罪課 / side 地域調整課





side 凶悪犯罪課

「ねぇねぇサマンサタバサの新作バッグ、マジ可愛くない?ちょー欲しいんだけど! あ、でもやっぱコーチがいいかなぁ。ねぇねぇシロくんどう思う?」
「へーよかったね。つーかさ、なんで俺だけ見張ってんの?キミやる気あんの?」 「ねーよ」
「ああ、無いんじゃ仕方ないな。うん。仕方ない。……俺もう帰るわ」

(25区内某アパート前/PM5:09)



「おいジャブロー、明日の夜空けておけよ」
「え?なんですかクロさん。俺明日非番だしエンタ見たいんですけど」
「麻雀のメンツが足らねぇんだよ」
「俺麻雀知らないですよ」
「じゃあ明日までに覚えてこい」
「無茶苦茶ですね。で、参加者は?」
「私と部長とヒロくん」
「なんすかその威圧的なメンツは」
「いいじゃねぇか別に。どうせカモられるだけだろお前は」
「わかってますけど面と向かって言われると傷つきます」

(凶犯課/PM6:13)



「おいジャブローくんよ。あの行列はなんだ?」
「ああ、あれは最近出来たアイス屋ですよ。なんかフローズンフルーツを混ぜてオリジナルアイスを作ってくれるみたいですね」
「……」
「あの…クロさん?」
「…………」
「…あ!スイマセン!英語…」
「違うって、そこはかろうじて分かってんだよ。私が黙ってたのは、なんでお前はそれだけ詳しいのにこの私にそのアイスのひとつも買ってこないのかってことに対して、 私なりに納得行く解答を得ようと努力してた結果だよ。あー、無駄な頭脳労働したら疲れた。この疲労の責任取ってくんねぇ?例えば甘いもんでも買ってくるとかしてさ」
「もちろん俺のおごりっすよね」
「世渡りの授業料だ。安いもんだろ?」

(25区管轄内/PM2:59)



「ヒロオカさんって、ヤバい趣味持ってるんですって?」
「おいおい、藪から棒になんだいシロヤブくん。こんな誰が聞いてるかもわかんないところで出す話題じゃないなぁ」
「研究室の個室じゃないですか。俺らだけでしょ」
「そうだけどさ、一応雰囲気作りってのがあんのよ」
「はぁ、そうですか」
「何、シロくんも興味ある?」
「いえ俺は別に。ただ中身はどんなもんなのかと思って」
「うーん、言ってもいいけどさぁ。聞いたらキミ、僕のこと処分したくなっちゃうかもよ?」
「…」
「お互い、平和な人生謳歌したいもんだよね」

(法医学センター研究室/PM4:02)



「なぁタカハシ、そういやキミ女子高生でしょ?呼び出しがあったらいつでも参上するって、学校はどうしたの学校は」
「えージャブローおやじくさーい。チョーウザーイ」
「一応これでも公務員だからね。規範は守って貰わないと俺も困るのよ」
「ヒロくんはなにも言わないよ。私の生活にクチだすなよジャブロー」
「そもそもなんでヒロさんの手伝いしてんの?」
「利害関係の一致と、ヒロくんがセクシーだから」
「セクシー?あのおっさんが?」
「おまえだって私からしたら結構おっさんだ。ヒロくんの魅力がわからないとは、まだまだだな」
「控え目に傷つくなぁ。でもヒロさんて以外に女の子に人気あんだよな…」
「仕事人間にはない底深いオーラがあるんだよ。お前も頑張れよ」
「どういう方向に頑張ればいいか不明だけど精進するよ」

(25区管轄内/AM11:49)



「なんでこう、予想もつかないことが次々に起こるんだろうね。いいかげん僕は疲れちゃったよ」
「チルコは予想つくよ」
「エスパーだからね。でもさ、僕たち一般人には厳しい世界だよ」
「現実にはカオスが組み込まれてるから、過程で個々の予測はできても結果は出るまでわからないんだよ。チルコは同時多発的に起きていることをエスパってるけど、直接影響は与えられないんだよ」
「よくわかんないけど、チルコちゃんも大変ってこと?」
「チルコは時間の波に潜っているから、息継ぎを忘れなければ平気なんだよ」
「ふーん、そうなんだ」
「心配しなくても、コシミズはチルコが連れていってあげるのら〜」
「そっか。それなら安心だね。もう一杯、キャラメルフラペチーノ飲んでいこうか?」
「うん、飲む!」

(24区内コーヒーショップ/PM6:16)









side 地域調整課

「先輩先輩、はいコレ」
「なんだこれ。ウコン茶じゃねぇか。俺が注文したのはビールだろ」
「先輩、これから大いに飲むっていう時にこそ、体を労らないと」
「にしたっておまえはもう飲んでるじゃねェかよ」
「ああ、ご心配なく。うちは代々肝臓が強い家系なんで、空きっ腹にビールくらいじゃ全然平気ですから。ホラ、ぐずぐず言ってないでそれ早く飲んで飲んで!」
「……(溜息)」

(地域調整課飲み会/PM6:47)



「あ、ちょっと先輩待って待って!」
「なに?急ぐんだから早くしろって」
「いや〜忙しくて忘れてたんですけど、今日ロッキンオンの発売日なんですよ。そこの本屋で買ってきますんで、ちょっと待ってて下さい」
「………オオサトくん。キミ、仕事の現場にそんな雑誌持っていくつもり?」
「あー…いけませんかね?やっぱ」
「いい理由があったら俺が聞きたいねぇぇ」

(役所前横断歩道/AM11:02)



「おい、コレなんてどう?」
「はい?なんですか?」
「季節限定モンブラン味チョコレート。お前こういうの好きそう」
「はぁ?何言ってるんですか先輩。僕がモンブラン味ならなんでもいいと思ってるんですか?」
「いや別に。特別どうも思ってないけど」
「大体、ニセモノで満足するなら本物のモンブランを食べる意味が無いじゃないですか。違います?」
「へえぇ。オマエの舌で違いが分かるのかねぇ」
「分かりますって!先輩こそニセモノには気を付けた方がいいですよ。ほら、よくいうじゃないですか “ニセモノ買いの銭失い”って。そういうところから倹約したほうが、お金貯まりますよ?」
「言わないし余計なお世話だしムカツク」
「…先輩って、結構頑固ですよね」
「そ、俺は頑固で金のない中年なの。わかったらさっさと必要なモノだけ買ってきなさい」
「…はーい(すぐ拗ねるんだもんなぁ)」

(某コンビニ/PM1:42)



「先輩先輩、知ってます?」
「なんだよ」
「世の中の先輩っていうのは、後輩に昼飯をおごったりするものらしいですよ」
「ああそうだな。そういう噂も聞くな。恐ろしい噂だ」
「あの、都市伝説の話をしてるわけじゃないんですが」
「じゃあはっきり言うけど、おまえ俺がそんな余裕あると思うの?」
「いえ、言ってみただけなんで。ホントにおごってもらうならナンゴウさんに頼んだ方が良さそうだし」
「本当にキミは人をムカつかせる才能に溢れてるね」
「あー、あれじゃないですか?ジェネレーションギャップ」

(タワーマンションエレベータ内/AM10:35)



「オオサトくん、これなんだと思う?」
「え?…あ!ホテルマルホランドのデザートビュッフェ招待券じゃないですか!」
「潜水夫のシマがあっちの担当だろ?どういう経緯か知らないけど貰ったらしくてな。でもあいつは甘いモノ苦手だからって俺にくれた」
「えええ〜?なんで先輩になんですかぁ?!」
「俺のが先輩だから」
「理不尽ですよ!」
「これ、欲しい?」
「欲しいです!そこ予約が大変なんですよ?しかもこれから秋の限定マロンフェアで、とびきりのモンブランが出るらしいんです!」
「ふーん。じゃあ、来週行く訪問先の事前調査やっといてくれる?」
「やったらそれ、くれますか?」
「やらんこともない」
「…パスワードの解析と、当日の車の運転でどうですか!」
「話がわかるようになってきたねぇオオサトくん。これも教育の成果かな?」

(地域調整課/PM2:45)






ghmトップへ

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送