11. 呉越同舟

「おじさん、チャーシュー麺と餃子!あとトッピングの煮卵追加で、麺は硬めね」
「はいよ。お客さん、こっちの人と知り合いかい?」
「こっちの人?あ、相棒じゃん!」
パトロール中のバンが昼食のために立ち寄ったラーメン屋は、昼時の喧噪に包まれていた。そのカウンター席に、見慣れた制服を着た人物が、眉間に皺をよせて座っている。
「おい、バン」
「ん、なに?」
「マネするな」
「は?なにが?」
バンに隣に座られたホージーはカウンターを指先で軽く叩いて溜息をつく。
「注文だ注文。なんで俺と同じなんだ」
「だってここのチャーシュー麺最高だろ?」
「餃子もグレイトだ。…それはいい。トッピングと麺の硬さまで同じにするな!」
「えー、そんなこと言われても、ここの煮卵大好きだしなぁ」
ホージーが口を開きかけると、目の前にほぼ同じ姿をしたラーメンと餃子が置かれた。
「はいお待ち。チャーシュー麺と餃子2人前ね」
「おい、俺たちは別に一緒に来たわけじゃ…」
「うん、美味い!やっぱチャーシューの煮かたが違うよなぁ!」
がつがつと平らげていくバンの様子に呆れつつも、ホージは頷く。
「それは同感だ。麺の硬さと煮卵の味付けもエクセレント」
「ホントホント!ちょっと甘めなとこがいいんだよな」
「お客さんたち、やっぱり気が合ってるねぇ。さすが相棒ってとこかな?」
ふたりの前に水を出しながら店主がそう言うと、小さな店内に「当然!」という答えと「相棒っていうな!」というツッコミがほぼ同時にこだました。

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