シュガーレス・アフタヌーン ボスはスワンとともに、鉄工所でコーヒーを飲んでいる。 今頃デカルームでは、若い署員たちがつかの間のクリスマスパーティを楽しんでいるはずだ。 さっきまでの騒ぎを思い出し、ボスは一人眉間にしわを寄せる。 「まったく。あいつら、はしゃぎすぎだ」 「まぁまぁ、いいじゃないの。みんな若いのよ」 スワンのおっとりとした口調に、ボスはますます眉間のしわを深くする。 「しかしだな」 「あら、ドゥギーにだって若い頃はあったでしょ?」 「それはそうだが」 「そりゃドゥギーは今だって若々しいけど、あの子たちはもう、ピッチピチなのよ?」 ピチピチという表現はどうだろう、と思ったがボスは唸るだけにとどめておいた。 「それに普段はあの子たち、同年代の子たちよりもずっと厳しい仕事をしているんだもの。少しくらい息抜きしたっていいじゃない?」 「・・・そうだな。いまは幸い緊急の仕事もない。しばらく好きにさせておくか」 スワンの言うことにも一理ある。コーヒーを啜ってそう言うと、スワンが笑った。 「それに、たまにはこうして二人でゆっくりするのもいいものよ」 「ああ、まぁな・・・」 照れたように語尾を濁すボスを見て、スワンは満足そうに頷き、立ち上がる。 「それじゃ、ボスのお許しも出たところで」 そういって棚の奥に置いてあった箱を取り出した。 「はい、これ。あなたによ、ドゥギー」 「いいのか?」 ピンク色のリボンがかけられた小箱を前に、ボスはスワンと箱を交互に見る。 「もちろんよ!あなたにもらってもらわないと困るのよ」 「そうか・・・。ありがとう、スワン」 「いいのよぉ。あなたからは、忙しい中でチャンベーナ星への研修許可を貰ってきてもらったんだもの。あそこの研修はとても人気があるから、私も一度参加して見たかったのよ。 それが私へのプレゼントだわ。だから、いつも苦労しているあなたにちょっとしたお礼なの。ね、開けてみて!」 スワンに急かされ、ボスはリボンを解き、箱を開ける。 そして一瞬の沈黙の後、困惑の表情を浮かべてスワンを見上げる。 「・・・スワン、これは・・・」 ベルベットの高級感漂う箱から出てきたのは、大きめのリング状の金属だった。 ギラギラ輝く金色をした物体の側面には華々しい花模様が彫られていて、さらにはSPDのロゴがまばゆいばかりのラインストーンで飾られている。 どこからどう見ても趣味がいいとはいえないそのリングを、スワンはにっこり笑って箱から取り出した。 「じゃーん!新しい首輪よ。いましてるのって、私が本部にいたころから着けてるやつでしょ?そろそろ新しいのにしてもいいんじゃないかと思って」 「まぁ、それもそうだが、あの、なぁスワン・・・」 「ああ、いいのよお礼なんて〜。私が作った物なんだから、本部も公認よ。あ、それにこれは機能も耐久力も抜群なの。なんと磁気の力で肩こりが治るのよ!」 「スワン、ひとの話を聞いてくれ」
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