例えると デカルームにはウメコとジャスミン、そしてテツだけがいる。 ウメコは調べ物の手を休めて伸びをしながら、テツに日頃の疑問を尋ねてみた。 「ねーテツ。センさんってさ、ときどきテツに厳しいよね?注意の仕方とか、他の人に言うのとちょっと違わない?」 「うーん、そうですねぇ・・・。まぁ、俺がいけないんですけどね・・・」 「テツ、センちゃんになにかしたの?」 隣で書類整理をしていたジャスミンが2人の話に加わる。テツは渋い顔をしてウメコとジャスミンを手招きし、顔を近づけて小声で話す。 「前に、先輩と一緒に地球署のみなさんを動物に例えてたんですよ。それをセンさんに聞かれちゃって・・・」 「ふーん、そんなことしてたんだ。ね、私はなんなの?」 「ウメコさんは、元気で小さいからハムスターです」 「えーー!?あたしそんなに小さくないもん!」 ウメコの顔を見て、ジャスミンがこらえきれずに吹き出す。 「いまの顔、ほお袋がふくらんだハムスターにそっくりだったわよ?」 「もージャスミンひどいー!」 「で、ジャスミンさんがミステリアスな雰囲気のシャム猫」 「ちょっとテツ、ジャスミンのほうがなんか良くない?」 「ま、私の魅力からしたら当然ね」 「でも、高くてなかなか買い手がつかないっていう・・・ぐはっ!」 「口は災いの元」 「ぐ、みぞおちに・・・す、すみませんでした・・・。えーとそれで、先輩が猪突猛進でそのままイノシシ、ホージーさんが優秀なラブラドールレトリバーです」 「ふーん、まぁまぁじゃない?それで、センさんは?」 テツが2人の顔を交互に見てからため息をつく。 「・・・マリモです・・・」 「あららら?」 ジャスミンが素っ頓狂な声をあげ、ウメコが椅子からずり落ちそうになる。 「可哀想なセンさん・・・」 「そりゃいくらセンちゃんでも怒るべさ」 「そうだよぉ、せめてハ虫類くらいまでに例えてあげなよ!」 「さりげなく口が悪いわねウメコ」 で、でも!と、テツが慌てて口を挟む。 「これにはちゃんと理由があるんですよ」 「え?どういうこと?」 「マリモの学名ってクラドフォラ・エガグロピラっていうんです」 「・・・なんか見かけの割に厳つい名前ね」 「ええ。だから人は見かけによらないって意味で」 「ああーなるほどね!」 「ウメコ、そこで納得したらセンちゃんが可哀想でござるよ・・・」
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