2月の甘休日

平穏な空気が流れるデカルームで、ウメコとジャスミンは書類を整理しながらおしゃべりに花を咲かせていた。
「今年は誰が一番かなぁ」
「それは決まってるでしょ?ウメコ」
「うーん、でも今年はバンとテツが来たから、波乱があるかもよ?」
ジャスミンがチッチッと指を振る。
「ナンセンス。『彼』には誰も敵わないわ」
「二人とも、敵うとかなんとか、さっきから何の話だよ」
横でジュウクンドーの訓練をしていたバンが2人の会話に加わる。
「ねぇバン、今日チョコ何個もらった?」
「な、なんだよウメコ。なんでそんなこと聞くんだ?」
突然の質問に、バンの顔が引きつった。ジャスミンがにっこり笑いかける。
「素直に白状したまえ。でないと私たちの手作りチョコはお預けよ?」
「えー、それはきたないってば。ジャスミンの作ったチョコを盾にとるなんてさぁ」
「だーかーら、早く言いなさいよバン。それと、ジャスミンとウ・メ・コが作ったのよ!」
「わあかったって。13個だよっ。パトロール先でもらったのとか、食堂のおばちゃんが配ってくれたのも入れたらだけど・・・」
「へぇ〜意外!バンもなかなかやるじゃない」
ウメコの言葉に、若干自信が無かったらしいバンがようやく笑顔になる。
「だろー?でも学生時代はもっともらったんだぜ!」
「ふむ、なかなか大漁ね。・・・マイラさんからは貰えてないみたいだけど」
「えっ!ちょっと、なんで知ってんだよジャスミン?!手袋は・・・外してないし!」
「で、ホージーは?」
あわてふためくバンの質問を無視し、くるりと振り返ったジャスミンが問う。
「プライベートな質問に答える義務はない」
「相棒、俺が言ったんだから言えよなー。あ、それとも俺に負けてるから言いたくないとか?」
「21個だ。それと相棒って言うな」
「げげー!!負けてるじゃん俺!!」
「はじめから勝負する気なんかない」
「でも、ホージーさんもしっかり数えて…ん?」
「ウメコ、お口にチャック」
ジャスミンがウメコの口を片手でやんわりふさぎ、首を振る。二人のいつものやりとりに口出しをするなどという野暮なマネはしてはいけない、 というジャスミンなりの気遣いだが、気をつかってもらった二人は仲良く喧嘩していてそれどころではないらしい。
そうこうしていると、パトロールからセンが戻ってきた。

「ただいまー。いやー、さすがに外は冷えるねぇ」
「センちゃんおかえり・・・ってなに?!そのでかい紙袋!」
ホージーとのやりとりに一段落つけたバンが見たのは、センの持っている一抱えはある紙袋だった。
「あ、これ?いま商店街のパトロール行ってきたんだけど、店のおばちゃんとか、ちっちゃい子がどうぞって。地球署のみなさんへ、ってのもたくさんあるよ」
センの言葉に、ウメコがぴょこん、と飛び跳ねる。
「ほんと?じゃあそれは私達でもらって良いよね!」
「いいよ〜。はい、ウメコ。ジャスミンにも」
「ありがとー。ていうか、なんで袋の中にお煎餅とかバナナも入ってるの?」
ウメコがのぞき込んだ袋の中には、駄菓子やりんご、バナナ、煎餅やするめといったものまでが顔をのぞかせている。 袋が大きかったのはこのかさばるものが入っていたせいらしい。
「なーんか知らないけど、おばあちゃんとかがくれるんだよねぇ」
「マダムキラー・セン?」
ジャスミンがセンからもらったカリントウを食べながら、ぼそりと呟く。
「ねぇねぇ、こっちの大きい包みは誰から?なんか異様な匂いがするんだけど〜」
「・・・それはハクタクさんから押しつけら・・・頂きました。健康に良い漢方チョコらしいよ・・・。あ、ウメコいる?あげようか?」
「ごめん!遠慮しとく!うわ〜ん手に匂いがついたー!」
「うわ、ホントにスゴイ匂いだなそれ・・・何が入ってるんだ?」
バンが顔をしかめ、ジャスミンが後ずさる。
「ちょっとセンちゃん、その箱こっちに近づけないで!責任持って食べるべし!」
「ジャスミン厳しいよぉ・・・」
センが泣き顔になったところで、バンがふと顔をあげる。
「あれ?それでテツはどこいったんだ?」

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